高齢者とモバイルの親和性

母の日に子供を連れて私の実家に行った。妻が私の母にカーネーションを渡せと煩いので、スーパーで花を買って夕方に実家に行ったところ、私の姉と子供も来るので外食しようということになった。何でも、父と母は、先日、結婚50周年を迎えた(らしい。本人たちもよくわからない。)金婚なので、お祝いを兼ねてということで近くのファミリー向け居酒屋に行った。

子供の話などを話題にした後、携帯電話の話となった。何でも、姉が携帯電話を買い替えたので、古い機種を母にくれてやったそうだ。ただで貰ったと喜ぶ母に、ハードは無料でも月々結構な料金がかかるのにと内心呆れたが、まあ年寄りの暇つぶしにはいいんじゃないと思った。何しろ母は、このネットワークコミュニケーション全盛の時代に、遠くにいる親戚に固定電話で長距離電話をして結構な電話料金をかけている(らしい)、昔ながらのモバイルとは無縁な旧世代の「電話魔」なのだ。「携帯なんか持っててもどうせあんまり使ってないんだろう。長距離通話は携帯の方が安いかもね。」というと、姉が「お母さん、メールを送ってきてるよ。」と言った。「メールといったって、文字入力できないと送れないだろう。」というと、姉が「笑える変なメール文だけど、文字も送ってくるよ。」とのこと。母曰く、説明書をみながら1日がかりで文字をうってメールを送ったそうだ。その時のメールを見せてもらうと、家に飾った「雛人形」を写真にとって、写メールで送ったものだった。確かに変な改行や変な小文字が残った変な文章であったが、文字とアドレスも入力されている。

これには少々驚いた。テレビと電話しか知らない73歳の婆さんが初めて携帯電話を持って、自力でメールを送ったとは、身内ながらなかなか大したものだと思った。その後も送ったメールをみると、絵文字もついていた。本人は、携帯を楽しんでいると得意満面である。それをみて、自分が初めてiモードを使った時を少し思い出した。高齢者こそスマホ、携帯電話、タブレットを有効活用すべきと思ってはいたが、身近に伏兵がいた。有料でもよいので高齢者向けのスマホ・携帯教室などを、ドコモなんかがもっと宣伝して地方でやると人が集まるし、年寄りにいちいち操作法を聞かれる若者の被害者も減少すると思う。

私のドコモのメールアドレスを教えてくれというので、この調子で頻繁にメールを送られたら堪らないと思って「嫌だ。連絡事項は電話のみにしてくれ。gmailなら教える。」と言ったら、それならいいということだった。因みにその日の居酒屋のお代は父母に持ってもらった。ごちそうさまでした。